脳を活性化するエルゴチオネイン
エルゴチオネインとは
エルゴチオネインは、100年以上前に発見された硫黄を含んだ含硫アミノ酸の1つです。
エルゴチオネインは、私たちが食べている牛肉や豚肉、魚肉などや、玄米などの、食材の多くに含まれている天然の成分です。
多く作り出しているのは、キノコなどの菌類です。キノコ類は、種類によってエルゴチオネインの含有量に大きな差があります。
とくに多く含まれているのがタモギタケです。
残念ながら人間(哺乳類)の体内では、エルゴチオネインを作ることができません。
しかし、エルゴチオネインは体内に長く留まることができる成分なので、食事から毎日少しずつ取り入れ、体内で十分な量を蓄えていると、健康な身体づくりに役立ちます。
エルゴチオネインは熱や酸に強く、水に溶けやすい性質のため、キノコ類を炒め物や蒸し物、汁物などにしてもとることができます。ただし、茹でて使う際は、茹で汁にエルゴチオネインが溶け出してしまうため茹で汁は捨てず、スープに活用するなどして余すことなく摂りましょう。
キノコ類ではタモギタケに多い
しめじ、しいたけ、まいたけ、エリンギなどのキノコ類の中で、エルゴチオネインが多く含まれているのがタモギタケです。
タモギタケは北海道や東北などに自生し、現地の給食で使われる食用の黄色いキノコです。ゴールデンオイスターマッシュルームとも呼ばれています。出汁もおいしく、その機能性成分が注目されています。
エルゴチオネインの機能性
強力な抗酸化作用
エルゴチオネインの最大の特徴は、非常に強力な抗酸化作用です。身体を錆びつかせない働きです。
抗酸化作用とは、体内で発生した活性酸素を除去する働きのことです。
現代の生活環境ではストレスや紫外線、喫煙、排気ガスなどによって、体内で過剰な活性酸素が発生しやすくなっています。過剰な活性酸素は細胞にダメージを与え、老化や疲労、生活習慣病やガンを引き起こす原因になります。
「他の物質を酸化させる力が非常に強い酸素」のことです。私たちが呼吸によって体内に取り入れている大量の酸素のうちの約2%が活性酸素になります。活性酸素は殺菌力が強く、体内では細菌やウイルスを撃退する役目をしていますが、増えすぎると、正常な細胞や遺伝子をも攻撃(酸化)してしまいます。
活性酸素には、スーパーオキシドアニオンラジカル、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素などの種類があります。
活性酸素を消去して物質の酸化を抑制するのが「抗酸化物質」です。
抗酸化物質といえば、スーパーオキシドディスムターゼやカタラーゼなどの酵素、ビタミンE、ビタミンCなどがあります。
しかし、一つの抗酸化物質がすべての活性酸素を消去するのではなく、それぞれが異なる活性酸素を消去し、体内で抗酸化ネットワークをつくり体を守っています。
エルゴチオネインの抗酸化作用は強力で、すべての活性酸素に対応できます。
体内で最も多い抗酸化物質グルタチオンと比較すると、活性酸素の種類により異なりますが、約3~30倍と高い抗酸化作用を持っています。
抗酸化物質は、酸素が存在する状況では不安定になります。ところがエルゴチオネインは、特殊な構造(チオン基)をもっているため、強力なヒドロキシルラジカルや一重項酸素とは素早く反応します。しかし、酸素との反応性は低く、酸素が存在している状況でも長期にわたり壊れません。しかも熱や酸に対して安定していて、安全性が高いことも特徴です。
脳の活性化
エルゴチオネインの注目すべき点は、血液脳関門を通過することができ、水溶性にもかかわらず中枢神経に届くことです。
血液脳関門(blood-brain barrier; BBB)は 脳の中に他の場所から細胞や病原体、有害な物質などが入らないように防いだり電解質のバランスを安定させたりして、脳の中の環境が外部の環境によって容易に変わらないようにし、安定的に機能できるように働いている強力なバリア機構です。
エルゴチオネインは血液脳関門を通過できる成分のため、脳内細胞に届いて作用します。
①アミロイドβの凝集や蓄積を抑制し、認知症予防
認知症の中でも特に多いアルツハイマー型認知症の原因の一つは、アミロイドβが大きく関わっていると考えられています。
アミロイドβは、脳内で作られるたんぱく質の一種で、通常は、短期間で分解・排出されるものです。しかし加齢や遺伝、生活習慣の影響によりアミロイドβが適切に排除されなかった場合、脳内に蓄積していきます。
排出されずに脳に蓄積されたアミロイドβは、健康な神経細胞にまとわりつきプラークを形成し、神経細胞やシナプスを傷つけ、徐々に死滅していくことで脳細胞の機能を妨げます。最終的には記憶障害や認知機能の低下を引き起こし、アルツハイマー型認知症が発症・進行していくと考えられています。
さらにアミロイドβは発症の10〜15年前から蓄積し始め、徐々に脳を蝕んでいくものと考えられています。アルツハイマー型認知症の患者さんの脳には、特徴的な「老人斑」があることから、アミロイドβの蓄積が発症の原因であるといわれています。
軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病などの患者さんの血液中のエルゴチオネインの濃度は、健康な人と比較すると、低いことがわかっています。また、老化と共に血中のエルゴチオネイン濃度が低下するという報告もあるのでエルゴチオネインの積極的な摂取が認知症の予防につながることが示唆されています。
<研究報告>
40歳以上の健常者及び軽度認知障害者40名を対象に、タモギダケから抽出したエルゴチオネインを3ヶ月間毎日5mg摂取してもらい、「Cognitrax(コグニトラックス)」という検査で認知機能の変化を記録しました。(2020年4月20日発行 治療と薬理 vol.48,no4)
※Cognitrax(コグニトラックス)は「言語記憶力」「視覚記憶力」「ワーキングメモリ」「持続的注意力」などの13項目からなり、記憶力や注意力・反応速度などの検査が可能です。
3ヶ月間プラセボを摂取したプラセボ群と比較し、エルゴチオネインを毎日摂取した群では、認知機能検査の結果に改善の傾向がみられました。エルゴチオネインは言語記憶力や注意力・判断能力の向上に対する効果も期待できると考えられます。
言語記憶力とは、人や物の名前を記憶し、後から呼び起こす能力のこと。注意力とは、物事に対して注意を集中して持続させる能力のことです。
認知機能のサポートが期待できる機能性成分は数多く報告されていますが、エルゴチオネインは身体に存在する専用のトランスポーターが取り込んでいる点が特徴です。そして他の機能性成分が、医薬品との併用に関して注意事項が明記されているにもかかわらず、エルゴチオネインは他の薬と併用しても相互作用の心配が少なく、安全性が高いことも優れたところと言えるでしょう。
②脳神経を強化し再生を促し認知機能を維持
エルゴチオネインは、神経細胞へのアプローチが他の成分と大きく異なります。神経損傷が生じた際、エルゴチオネインを摂取することで神経の再生を促進できる可能性が考えられ、神経変性疾患にアプローチできると期待されています。エルゴチオネインのように神経細胞に直接作用するのは珍しい成分です。最近の研究では、エルゴチオネインが幹細胞の分化誘導を促進することが報告されています。
神経幹細胞にエルゴチオネインを与えるとニューロンへの分化が促進されます。このことは、神経損傷が起こってもエルゴチオネインを摂取することによって神経再生が促される可能性があることを示唆しています。
幹細胞は皮膚や血液など絶えず細胞が入れ替わる組織を保持するために、新しい細胞を再び産生して補充する能力を持ちます①皮膚、血液、神経、血管、骨、筋肉など細胞を作り出す能力 (分化能)と②自らと同じ能力を持つ細胞に分裂することができる能力 (自己複製能)があります。幹細胞が、細胞との接触や分化誘導因子などの刺激によって、異なる細胞に分化を引き起こすこと です。
脳に作用する成分のエルゴチオネインは、現在、新たなる機能、学習能力の向上についての臨床研究も始まっています。
③脳の病気「うつ病」を改善する
マウス実験では、エルゴチオネインのうつ病の改善効果も確認されています。
通常のエサ、エルゴチオネインを1%含むエサ、10%含むエサを与えたマウスに尾懸垂試験(びけんすいしけん:抗うつ薬のスクリーニングや、実験動物のうつ様行動を評価する行動試験)を行い、動かない時間を調べたものです。※動かない時間を抑うつ状態と判断します。
エルゴチオネインを摂取すれば、脳の健康を維持しやすくなり、うつ病の改善効果も期待されているので、精神的にも健康でいられる可能性があります。
その他
①関節の痛みの軽減
関節の痛みの軽減や、可動域を改善する働きも期待できます。12人がエルゴチオネインを含む栄養補助食品を6週間摂取した後、6週間休止期間を過ごす試験を行いました。その結果、関節の症状は1週間で改善が見られ、6週間後にはさらに高い効果を発揮しました。さらに、6週間の休止期間を終えた後もエルゴチオネインによる残存効果が見られ、症状の継続的な改善が報告されています。
②肌のハリの維持、シミやくすみのない美肌に
エルゴチオネインには、肌のハリを保ち、美肌を生み出す効能があります。活性酸素は、肌の弾力を維持するエラスチンやコラーゲンを変性させ、肌にダメージを与えます。エルゴチオネインが活性酸素の発生を抑制することで、紫外線によるエラスチンやコラーゲンへのダメージを減少できます。
また、エルゴチオネインには、エラスターゼ活性阻害作用やチロシナーゼ活性阻害作用があります。
エラスターゼ活性阻害作用:エラスターゼは肌の弾力を維持するエラスチンというタンパク質を分解する酵素です。その酵素を阻害し、肌の弾力やハリを損なわないようにする働きがあります。
チロシナーゼ活性阻害作用:チロシナーゼは皮膚のメラニン生成を促進する酵素です。メラニンの生成を促進しないようにする働きがあります。
紫外線によって活性酸素が過剰に発生した場合、真皮と表皮の間にあるメラノサイトが活性化し、シミやくすみの原因となるメラニンも大量に生成されます。メラニンが過剰に生成されると表皮の色素沈着が起こり、シミやくすみの原因になります。
エルゴチオネインの抗酸化作用と2つの阻害作用が、ハリを維持しシミやくすみなどの色素沈着から守ります。
③睡眠の質の改善
人を対象にした研究では、毎日20mgのエルゴチオネインを摂取すると、睡眠障害が大幅に改善されました。その効果は、エルゴチオネインの摂取のタイミングには無関係であることもわかりました。
実際に、毎日5mgのエルゴチオネインの摂取している人の中には、ぐっすり眠れてすっきりしたという声も多く寄せられています。
エルゴチオネインと体の仕組み
体には、エルゴチオネインを細胞内に取り込む仕組みがあります。
2005年に、エルゴチオネイントランスポーター(膜輸送体)が発見されました。
膜輸送体は、細胞膜に埋め込まれた構造をした膜タンパク質です。身体の中で作られるもの、あるいは外から取り込むものを認識し、それらの細胞内への取り込みや排出を行っています。
体内では合成できないエルゴチオネインをトランスポーターで、食物から細胞内へ取り込もうとする仕組みは、どこにトランスポーターが存在しているのかを調べると、意味のあることがわかりました。
その仕組みは、どうやら細胞を酸化させないように保護しているようです。
エルゴチオネイントランスポーター(OCTN1)の存在部位
下記のような場所に、トランスポーターが存在していました。
ミトコンドリアの膜
ミトコンドリアは細胞内のエネルギー工場と呼ばれ、熱と酸素を使ってエネルギーを生産します。酸素を使うためどうしても酸化されやすい宿命があります。酸化されると、ミトコンドリア自体が機能低下し、様々な病気や老化を招いてしまいます。ミトコンドリアの膜にエルゴチオネイントランスポーターが多く発現していることがわかっています。
赤血球
赤血球は酸素を運ぶことで知られています。高濃度にエルゴチオネインを蓄積しています。これは、赤血球が高濃度の酸素と鉄を含んでおり、酸化されやすい状況下にあるからでしょう。
皮膚
皮膚の中でも特に表皮細胞にエルゴチオネイントランスポーターが発現していてエルゴチオネインが蓄積されやすいことがわかっています。これは、紫外線によっておこる酸化ストレスに対抗するためと考えられます。
中枢神経
多くの神経変性疾患では、タンパク質の異常な凝集と蓄積が疾患発症に深く関与すると考えられています。神経変性疾患は、何らかの原因により脳や脊髄の神経細胞が徐々に失われ、物忘れが多くなったり(認知症)、手足がうまく動かせなくなったり(運動障害)する病気です。アルツハイマー病やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ポリグルタミン病(ハンチントン病、脊髄小脳失調症)など。
これらの存在部位からも、エルゴチオネインが酸素の害から守らなければならない部位に多く存在していること、身体にとっては必要な成分であることが推察されます。
効果的なエルゴチオネイン量
機能性表示食品として消費者庁に届出受理されるために必要なエルゴチオネインの1日分の量は、エルゴチオネイン5mg。
1日5mg以上のエルゴチオネインを摂取することで様々な作用が期待できると言えるでしょう。
機能性表示食品として販売するには時間と費用がかかります。企業によっては、消費者庁への届出をせずにエルゴチオネイン5mgを配合して販売している商品や、目的に応じて他の成分と組み合わせて相乗効果を狙った商品もあります。
エルゴチオネインサプリメントのご紹介
機能性表示食品
記憶の番人
内容量: 24g(200㎎×120粒)
希望小売価格: 4,980円(税込)
機能性関与成分及び含有量
エルゴチオネイン:5mg(1日4粒)
届出番号:F682
届出表示
本品にはエルゴチオネインが含まれます。抗酸化作用をもつエルゴチオネインは継続的な摂取により、中高年の方の記憶力(人や物の名前などを記憶し、後から呼び起こす能力)及び注意力(物事に対して注意を集中して持続させる能力)を維持する機能があります。
まるごとタモギタケ
内容量: 24g(200㎎×120粒)
希望小売価格: 5,500円(税込)
機能性関与成分及び含有量
エルゴチオネイン:5mg(1日4粒)
届出番号:H65
届出表示
本品にはエルゴチオネインが含まれます。抗酸化作用をもつエルゴチオネインは継続的な摂取により、中高年の方の記憶力(人や物の名前などを記憶し、後から呼び起こす能力)及び注意力(物事に対して注意を集中して持続させる能力)を維持する機能があることが報告されています。
北海道認定ヘルシーDo®取得
認定番号:第15-0111号
記憶ハイチャージ
内容量: 45g(1.5g x 30袋)
希望小売価格: 7,236円(税込)
機能性関与成分及び含有量
エルゴチオネイン:5mg(1日1袋)
届出番号:H1065
届出表示
本品にはエルゴチオネインが含まれます。抗酸化作用をもつエルゴチオネインは継続的な摂取により、中高年の方の記憶力(人や物の名前などを記憶し、後から呼び起こす能力)及び注意力(物事に対して注意を集中して持続させる能力)を維持する機能があることが報告されています。
メモエル
内容量: 22.5g(1.5g×15本)
希望小売価格: 3,780円(税込)
機能性関与成分及び含有量
エルゴチオネイン:5mg(1日1本)
届出番号:G897
届出表示
本品にはエルゴチオネインが含まれます。抗酸化作用をもつエルゴチオネインには継続的な摂取により、中高年の方の記憶力(人や物の名前などを記憶し、後から呼び起こす能力)及び注意力(物事に対して注意を集中して持続させる能力)を維持する機能があることが報告されています。
アサエル
内容量: 120粒(約30日分)
希望小売価格: 5,940円(税込)
機能性関与成分及び含有量
エルゴチオネイン:5mg(1日4粒)
届出番号:H665
届出表示
本品にはエルゴチオネインが含まれます。抗酸化作用をもつエルゴチオネインは継続的な摂取により、中高年の方の記憶力(人や物の名前などを記憶し、後から呼び起こす能力)及び注意力(物事に対して注意を集中して持続させる能力)を維持する機能があることが報告されています。
健康食品(栄養補助食品)
ritein.bi.plus
リテインビーアイプラス
内容量:38.4㎎(256㎎×5粒×30包)
小売価格:14,000円(税込)
エルゴチオネイン:7.5mg(1日1包)
キオクシア
内容量:24g (200mg×120粒)
小売価格:5,940円(税込)
エルゴチオネイン:5mg(1日4粒)
ユーグレナ バイオヘルステック
内容量:39.6g(440mg×90粒)
小売価格:4,298円(税込)
エルゴチオネイン:2mg(1日3粒)
かしこい健康栄養素
エルゴチオネイン(14本)
内容量:17.7g(1.25g×14本)
小売価格:2,480円(税込)
エルゴチオネイン:5mg(1日1本)
かしこい健康栄養素
エルゴチオネイン(30本)
内容量:37.5g(1.25g×30本)
小売価格:5,580円(税込)
エルゴチオネイン:5mg(1日1本)