n-3系 必須脂肪酸 EPA・ DHA
EPA・DHAとは
EPAは「エイコサペンタエン酸」、DHAは「ドコサヘキサエン酸」の略称です。
共に長鎖脂肪酸であり、多価不飽和脂肪酸、n-3(オメガ3)系脂肪酸です。
EPAとDHAは、サバやイワシなど、魚の脂などの不飽和脂肪酸に豊富に含まれている必須脂肪酸です。
人間が自分の体内で十分に作ることができない栄養素のため必須脂肪酸と呼ばれ、食べ物などから摂取する必要があります。
体内ではα-リノレン酸からEPA、そしてEPAからDHAと、酵素の働きによって変換、合成されます。
しかし、体内で、この反応をさせる酵素は少なく、合成量が十分ではないため、食べて補う必要があるので必須脂肪酸になっています。
α-リノレン酸(えごま油や亜麻仁油などの植物性の油)とあわせて積極的な摂取を推奨されている成分です。
その特長は、透き通っていて、サラサラしている油脂です。氷点下の海の中でも固まらないので体内でも牛肉や豚肉のように固まることはありません。
発見のきっかけ
EPA
かつてエスキモーと呼ばれていたイヌイット(北米大陸に起源を持つ先住民族グループ)は、野菜をほとんどとらず、アザラシなどの肉を主食としています。
それにも関わらず、肉食中心のヨーロッパ人よりも、心筋梗塞で亡くなる人が少ない状況でした。
これに注目し、1060年後半に調査を行なった結果、イヌイットの血液中に含まれるEPAが、ヨーロッパ人に比べ、とても多いことが明らかになりました。EPAはアザラシが主食とする青魚に由来するものです。
DHA
1989年にイギリスで日本の子供の知能指数が高いのは魚食(DHA)の影響ではないか、という研究が発表され話題を集めました。
実際に、人の脳組織に豊富に存在する脂質です。
この発表以来DHAへの注目度は一挙に高まり、各国で臨床試験が繰り返され、さまざまな効果が明らかになりました。
ただし、EPAよりも発見が遅い分、研究は、DHAはEPAも含まれる魚油で行われ、DHA単独でや純度100%DHAでの研究はなかなか行われてきませんでした。
EPA・DHAの働き
EPAの分子構造は、C20H30O2、DHAの分子構造は、C22H32O2、よく似ています。そのため働きもよく似ているところがあります。血液中の濃度変化は、EPAはとるとすぐに増え、やめると減りますが、DHAは、とってもEPAのように増減が起こりにくいことがわかっています。
働きが似ているEPAとDHAですが、共に併用することで、異なる働きをお互いに補いあいながら、脳内の血管に到るまで健康に保ち、心筋梗塞ばかりでなく、脳血栓や脳梗塞などのリスクの軽減、脳の発育や脳機能障害の修復、改善に期待できます。
EPAは、ほぼ純度100%の純品が高脂血症や閉塞性動脈硬化症の治療薬としても使われています。
①血液サラサラ、血流改善作用
EPAを毎日とっていると、赤血球の細胞膜は柔らかくなり、柔軟に形を変えられるようになります。血液の流れがスムースになり末梢血管への血流が高まります。
また、血小板凝集抑制効果という、血小板が寄り集まって固まるのを防ぐ効果があり、血栓を作らせない働きがあります。EPAは血液の粘度を低下させ、赤血球の変形能力を高めることにより、血液を固まりにくくし、結果的に心筋梗塞や虚血性心疾患などの血栓症の予防につながります。
DHAには、血管壁の細胞膜を柔らかくする働きがあるため、勢いよく血液が流れても血圧が高くなるのを防ぐ働きもあります。赤血球の細胞膜も柔らかくするため、血流が改善され、EPAよりは働きが劣りますが、血液はサラサラの状態になります。
血小板凝集抑制効果もありますが、EPAほどの高い効果は期待できません。
②善玉(HDL)コレステロールを増やし、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を減らす
EPA・DHAの特徴的な働きは、善玉(HDL)コレステロールを増やし、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を減らす力が強いことです。EPAは中性脂肪に対して、DHAはコレステロールに対してより高い効果があるといわれています。動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の予防が期待されています。
特に、EPAは、1990年に、高純度EPAエチルエステル(純度90%)が、高脂血症などに対する医薬品として認められ使用され始めました。
EPA・DHAの摂取は血管疾患に予防的に働きます。
脂肪細胞が出現した血管は脆弱化するため、腹部大動脈瘤壁に脂肪細胞が出現して破裂すると考えられています。動物を使った試験ではEPA・DHAをとることで腹部大動脈瘤壁の進展と破裂を抑制する(冠動脈疾患の発症率の20%低下)ことがわかっています。
③炎症を抑える
炎症とは細胞が傷ついたときに起きる反応で、特徴は、赤く腫れて熱を持ち、痛みを伴います。体内で炎症が起こると、アレルギー、がん、脳梗塞にまで、あらゆる病気につながってしまいます。
EPA・DHAには炎症を抑制する働きがあり、周りの生体組織がダメージを受けないようにコントロールしています。
従来は 、炎症を引き起こすn-6(オメガ6)系脂肪酸のアラキドン酸に対して、拮抗関係(互いに反対の作用を持つ関係)にあるn-3系脂肪酸の EPA・DHAをとることで炎症を抑制できると解釈をされていました。
現在では、 EPA・DHAに由来する炎症の収束を促進する(抗炎症活性)代謝物の存在がわかっています。
認知症は脳の細胞でもゆっくり慢性的に進行する炎症反応によるものとされています。炎症を促進させるものを減らし、炎症を抑えるEPA・DHAを積極的に摂取することは、脳の健康を守り、認知症の予防にも繋がるものです。
ただし、EPAは、すぐに酸化されてしまうので、ビタミンEなど抗酸化剤と一緒にとると、細胞膜に入り込み、EPAを酸化から守ってくれます。
④アレルギー
EPA・DHAは、アトピー性皮膚炎や花粉症、喘息といったアレルギー症状の緩和にも効果があると考えられています。
EPA・DHAは、アレルギーを促進する酵素シクロオキシゲナーゼ、あるいはリポキシゲナーゼなどの酵素を阻害する働きがあります。
シクロオキシゲナーゼはプロスタグランジンE2という、アトピー性皮膚炎や花粉症、喘息といったアレルギー症状や関節炎などを促進する酵素です。
リポキシゲナーゼは、動脈硬化,虚血再灌流障害、がん 転移などを誘導、促進する酵素群です。
EPA・DHAは、これらの酵素を阻害し、炎症に関係する生理活性物質プロスタグランジンE2がつくられるのを抑制します。
その結果、アトピー性皮膚炎や花粉症、喘息といったアレルギー症状、関節炎など、同時に、慢性気管支炎などの炎症性疾患の改善にも効果があります。
⑤エネルギー代謝
人の脂肪細胞は白色脂肪細胞、ベージュ脂肪細胞、褐色脂肪細胞と3種類あります。
褐色脂肪細胞は茶色の脂肪細胞です。ふつう脂肪というと、皮下脂肪などの白色脂肪細胞を指し、脂肪分を貯蔵し、エネルギーを蓄える細胞です。褐色脂肪細胞は、脂肪分を分解して燃焼させる作用がある細胞です。
しかし、褐色脂肪細胞の脂肪燃焼は、肥大化した脂肪細胞によって阻害されるため、加齢や肥満によって褐色脂肪細胞は活性化されなくなります。
EPA・DHAをとることで、褐色脂肪細胞は活性化されてエネルギー消費を増加させることがわかっています。
⑥脳の活性化
EPA・DHAの脳での占める割合は、DHAのほうが大きく、EAPは、ほとんど脳内には存在していません。
EAPは、脳に達すると1分もたたないうちに分解されてしまい、DPAという物質からDHAになっていきます。
このことからEPAは、脳に取り込まれ,脳機能に影響を与えると考えられています。
EPAは単にDHAの前駆体としてだけでなく,それ自体にも脳に対する効果が認められていて、うつ病ではEPAが予防効果が高いことが示されています。
脳萎縮を予防する効果について述べた報告や、うつ病予防に関する報告もあります。
うつ病患者22名にEPA 3g /日とDHA1.4 g/日を12週間服用した結果について調べた研究では、EPAとDHAを服用した患者で血液中の抗炎症成分が増え、うつ様の症状も軽快していたことがわかりました。
うつ症状の原因の一つに脳の炎症反応も考えられます。炎症を防ぐ働きがあるEPAやDHAを積極的に補充することもうつ病の予防になると考えられます。うつ病予防だけでなく、治療としても効果がある可能性が指摘されています。
アルツハイマーでは、DHAが主に認知機能で効果が高い可能性が示されています。
遺伝性アルツハイマー病患者さんから作製したiPS細胞を用いたスクリーニングでも、DHAにはニューロンを保護する効果があったことが報告されています。
DHAは脳を活性化する働きがあるため、神経伝達物質の量を増やし、情報伝達の能力を向上させる働きがあり、神経細胞の発育を活性化させ、機能維持に重要な役割を果たしています。また、記憶や学習能力を向上させるために必要不可欠な成分です。
また、認知症の患者さんに6ヵ月間DHAを摂取させると、計算力や判断力が高まる結果が報告されています。
アルツハイマーは脳の神経細胞が死んで萎縮する病気ですが、DHAは神経細胞を修復し保護し、残った神経細胞の働きをサポートし効果を示しています。
海馬には、おもにDHAの影響が強いと考えられ、認知機能の改善効果はDHAが優れていると捉えられています。
⑦エンドカンナビノイドシステムの維持
エンドカンナビノイドシステムとは、大麻の薬効成分であるCBDオイルの研究から明らかになったものです。
人間の健康を維持するために欠かすことのできない、神経・免疫バランスを調節する、体内のバランサーのようなシステムです。
このシステムが機能しなくなると、様々な体調の変調が起きやすくなるとされています。
EPA・DHAは、脳内麻薬の受容体に作用し、エンドカンナビノイドシステムを維持するためには、欠かせないことがわかってきています。
⑧精神面の効果
EPA・DHAは、海馬での認知機能の改善、セロトニンやドパミンなどの効果の増強などが考えられています。
EPAは、精神的な面においても、うつ病やイライラを緩和させ情緒を安定させる報告があります。
また、アルツハイマー患者にEPAを投与することでも認知機能の改善が見られた報告があります。
DHAの子どもやお年寄りを対象にした研究で、DHAを摂取することで攻撃性がなくなり、精神面の安定が維持できると報告されています。自律神経系にも作用するため、ストレスの緩和作用が期待できたり、脳神経系の活性化にも役に立ちます。
抗うつ効果としては、EPAの作用が大きいのではと考えられています。
血中のEPA濃度とうつ症状の程度には相関がみられた、という報告もあります。
いずれにしても不安症状が軽減しています。
⑨その他
EPAをアミノ酸の一種であるアルギニンなどと一緒に、手術前の患者に投与することで、術後の創傷の治癒が促進されるという報告があります。EPAは幅広く医療の分野で効果を発揮しています。
また、EPAは、がん患者さんのがん悪液質の典型的な症状(体重減少、骨格筋量減少、食欲不振、倦怠感、疼痛、不安・抑うつなど)に対抗する物質をつくり出し、がん悪液質の対する栄養療法の一つとして注目されています。
そして、下腹部痛や激しい腰痛、頭痛、嘔吐、不眠を伴う月経困難の反応には、プロスタグランディンという物質が関与しています。EPAはこの痛みを抑えてくれる物質(プロスタグランディンE3)に変わります。
十分な量のEPA摂取により、炎症マーカーであるCRPの低下、炎症に起因する体重の減少を止め、体重の増加を目指す栄養療法が注目を浴びています。
EPAとDHAの違い
①血液脳関門を通過できるDHA
EPAとDHA、両者の最も大きな違いは、血液脳関門を通過できるかどうかにあります。
脳の血管には、血液脳関門という脳のバリケードというべきものがあります。
脳はデリケートな部分のため、ウイルスや細菌、薬剤や成分などが簡単に入っていかないように、血液脳関門が存在し、バリケードになっています。
このバリケードを突破できる成分こそが、脳神経系に働きかけることができます。
EPAは血液脳関門を通過できませんが、DHAは通過できます。
DHAは、脳組織に豊富に存在する脂質で、前頭葉では脂肪酸の約13.5%をしめていますが、EPAは、ほとんど脳内には存在しません。(DHAは、脳に存在している成分ですから、当然、血液脳関門を通過できます。)
EPAは、脳に達すると、すぐに分解されてしまい、DPA(ドコサペンタエン酸)という物質からDHAとなっていきます。
こうしたことからDHAとEPAの作用は、まとめて研究されていることも多いのです。
DHAは、脳が大きくなる成長期の子どもや、脳細胞が機能しにくくなる高齢者にとっては重要な栄養素です。
DHAは、脳細胞の膜、特に記憶や学習に関わる海馬に多く集まっています。
頭の良さには、海馬のDHA量が関わっているといわれており、DHAは脳の栄養素、脳が必要としている成分です。
DHAは脳細胞の活性化に関わる栄養素のため、脳の神経細胞の情報伝達をスムーズにする働きがあり、記憶力や言語能力などの認知機能、行動能力にも好影響をもたらすといわれています。
不足すると記憶力・学習能力が低下するおそれがあります。
また、胎児・乳児期に欠乏すると脳の発育に支障があるといわれています。
DHAの継続的な摂取は赤血球膜の脂肪酸組成を変化させ、加齢に伴う短期記憶力の低下や認知機能の低下を抑制し、認知機能を改善、認知症予防の可能性が示されています。
通過したDHAには脳を活性化する働きがあり、脳細胞の活性化から認知症予防に用いられています。
また、脳が作られる乳幼児(成長期)も積極的にとると良いといわれています。
アルツハイマー病患者の死後、脳を解剖して調べたところ、脳に含まれるDHAは、健常者に比べて低く、赤血球中のDHA量が低いとMRI画像上の脳容積が小さく、認知機能テストのスコアが低いことも確認されました。
赤血球中のDHA値が低いことで、記憶力や判断力を担う脳機能低下の進行や、アルツハイマー型認知症の引き金になるとも考えられます。
最新の研究では、アルツハイマーの原因物質の一つであるアミロイドβは、健常者の脳内にも存在しますが、加齢などの要因で排出されずに蓄積していくと、脳細胞を死滅させることもわかってきました。
事前にアミロイドβを脳内に投与したラットを用いた実験では、ラットにDHAを投与すると、アミロイドβの脳内への沈着を抑制できたことから、軽度認知障害(MCI)などの認知機能障害へのDHAによる予防効果も期待されています。
国立長寿医療研究センターでは60歳以上の方の血中DHA濃度の高さで10年後の認知機能低下リスクが異なるか検討し、血中DHA濃度が高い人は認知機能が低下しにくいという結果が報告されています。。
②血液網膜関門を通過できるDHA
DHAは血液網膜関門というバリケードも突破できます。
目の網膜の脂肪の40~60%はDHAで構成されているため、DHAを摂取することで、近視の改善や集中力の向上、動体視力の改善、ドライアイなどの目の症状の緩和も期待出来ます。
DHAを含んだパンを小学生に食べさせたところ、視力が改善されたという結果も報告されています。また、未熟児にDHAを摂取させると、未熟児網膜症のリスクを低減することも明らかになりました。DHAは視力のサポートや回復に欠かせない栄養素です。
血液網膜関門(blood-retinal barrier; BRB)は循環血液と網膜組織の間に存在するバリア機構。血液網膜関門には内側と外側の関門がある。 網膜は視覚に関与する重要な神経組織で網膜内の恒常性の維持に重要な役割を有しています。
期待されるEPA・DHA
健脳育成成分 子どものために
DHAは、母乳に多く含まれている成分です。
母乳に含まれている成分ですから無駄なものはなく必要不可欠な成分です。
DHAは、赤ちゃんの脳が健やかに育つためや記憶や学習能力を向上させるための必須成分と考えられ、現在では、赤ちゃんの粉ミルクにも配合されています。
DHAと知能指数の関係では、未熟児で生まれた赤ちゃんをDHAを含まない粉ミルクで育てた場合と、DHAを含む母乳で育てた場合では、母乳で育てたほうが、知能指数が高いことが明らかになっています。
子どもの脳細胞の発育には、赤ちゃんがお腹にいるときから母親がDHAをとるようにする、粉ミルクの場合でもDHA配合の製品を選ぶことが大切です。
成長後の子どもでもDHAをとると、学習能力が向上し、集中力が高まることもわかっています。
DHA摂取量は、胎児期から幼児期にかけての脳内のDHA量に深く関係しています。
実際、この期間に脳内DHA量は徐々に増加していて、DHA摂取が脳の発達に不可欠であると考えられています。
生まれた時から生涯を通じてDHAは大切な脳の栄養素といえるでしょう。
脳の活性化成分 高齢者のために
DHAは脳を活性化する働きがあります。
神経伝達物質の量を増やし、情報伝達の能力を向上させる働きがあり、神経細胞を修復し、発育を活性化させ、機能維持に重要な役割を果たしています。
記憶や学習能力を向上させるために必要不可欠な成分です。
認知症の患者さんに6ヵ月間DHAを摂取させると、計算力や判断力が高まる結果が報告されています。
アルツハイマーの患者さんにも効果を発揮します。
アルツハイマーは、脳にアミロイド蛋白質βとタウタンパク質が蓄積し脳の神経細胞が死んで脳が萎縮する病気です。
EPA・DHAには、アミロイド蛋白質βの大脳皮質への沈着を減少させる神経保護作用があることが報告されています。
EPA・DHAは、脳神経を酸化障害から保護する働きがあります。潤滑油のような働きで、脳神経と脳神経の接合部の情報伝達を滑らかにしシグナルの伝達を亢進させています。
EPA・DHA濃度を上昇させることで、脳内に酸素を運ぶ赤血球中のヘモグロビン量が上昇し、脳細胞が活性化することが報告されています。中高年の人の加齢に伴い低下する認知機能の一部である記憶力(一時的に物事を記憶し思い出す力)、注意力、判断力、空間認識力を維持することが報告され、機能性食品としての届出が認められています。
DHAとEPAの1日の基準摂取量
不飽和脂肪酸であるオメガ3系脂肪酸にDHA・EPAが含まれ、体に必須の栄養素です。
DHA・EPAは一日の摂取量の基準があります。
DHAおよびEPAを含むオメガ3系脂肪酸の一日の食事摂取基準
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18~49歳 | 2.0g | 1.6g |
50~64歳 | 2.2g | 1.9g |
65~74歳 | 2.2g | 2.0g |
75歳以上 | 2.1g | 1.8g |
DHA・EPAを多く含む身近な食品
簡単に摂取しやすい代表は青魚類です。
DHA・EPAの量は、種類や部位によって違いがあります。また、調理法によっても変化します。
食品名 | DHA含有量(成分量100gあたり) | EPA含有量(成分量100gあたり) |
---|---|---|
さば類/加工品/開き干し | 2.7g | 1.5g |
さば類/たいせいようさば/生 | 2.6g | 1.8g |
さんま/皮つき/生 | 2.2g | 1.5g |
さんま/缶詰/味付け | 1.7mg | 1.0g |
いわし類/めざし/生 | 1.4g | 0.93g |
いわし類/缶詰/かば焼 | 1.4g | 1.8g |
さば類/たいせいようさば/水煮 | 2.1g | 1.66g |
いわし類/まいわし/生干し | 1.1g | 1.4g |
いわし類/缶詰/味付け | 1.1g | 1.4g |
DHAとEPAの上手な利用法
EPA・DHAを最も効率よく摂るには、魚を生で食べることです。
加熱する調理法では、脂肪と一緒にEPA・DHAが逃げ出してしまいます。
「焼く」「煮る」では、生のときの約80%、「揚げる」では約50%に減ってしまいます。
魚を食べてEPA・DHAをとったつもりになっていても、調理法によっては十分にとりきれていない場合もあります。
加熱する場合は、流れ出た脂をすべて利用し、なるべく逃さない工夫をしましょう。体内で酸化を防ぐためには、β-カロテンの多いにんじんなどの緑黄色野菜やビタミンEの豊富なゴマなどの種実類と一緒に摂ることがおすすめです。
最も手軽にとる方法は、缶詰を利用することです。汁も丸ごと活用しましょう。
青臭みが苦手な人は、生姜やネギを使うと、気になりません。
なお、酸化しやすいので缶詰は一度開けたら使い切ることをおすすめします。
DHA・EPA サプリメントの選び方
DHA・EPAの含有量
含有量はサプリメントによって異なります。摂取目安の数値を元に、DHA・EPAの含有量をチェックしましょう。
サプリメントには、食品や機能性表示食品といった分類があります。
EPA・DHAには、特に抗血液凝固や中性脂肪低下作用が報告されています。
また、EPA・DHAは「食後の血中中性脂肪が上昇しにくい食品」として特定保健用食品にもなっています。
特定保健用食品は、有効性、安全性などの科学的根拠を示して、国(消費者庁)の審査のもとに個別に許可を受けた食品のことです。有効性の証明として、査読付き(投稿された論文をレフェリーと呼ばれる第三者の専門家(1〜4人)が読み、学術雑誌(ジャーナル)への掲載にふさわしいかどうか判断する作業)の研究雑誌に掲載されることが条件となっています。また定められた試験機関によって関与成分の含有量の分析試験も行われます。こうした審査を経て認可された食品は特定保健用食品としてマークと、特定の保健機能について表示することができます。
機能性表示食品とは、届出表示をしてある機能を記載できる商品です。
届出内容は、消費者庁のWEBサイトで公開されているので、商品の安全性や機能性がどのように確保されているかを確認しましょう。EPA・DHAには「血中の中性脂肪値を低下させる機能」が報告されています。
ある研究では、EPA・DHAの1日摂取量としては、EPA・DHAが182mg〜5,960mg/dayの 範囲において、中性脂肪値の低下に対する効果が期待できると考えられています。また
また他の研究では、EPA・DHAには、「健康な中高齢者の認知機能の一部である記憶力(言葉や見たものを思い出す力)を維持する機能」が報告されています。「言語性記憶」や「視覚性記憶」に関する機能に肯定的な効果が認められたDHA・EPAの1日摂取量は900~2,550 mgの範囲でした。
各社によってベースになる研究データが異なるので、研究データを確認の上で、選ぶのをおすすめします。
酸化されやすい成分のため、ビタミンEやビタミンCといった抗酸化作用がある成分が配合されているといいでしょう。
成分表を確認ください。
サプリメントを摂取する時の注意点
サプリメントには、1日の摂取目安量は記載されています。パッケージに記載されている量を守って摂取してください。摂取するにあたっての注意事項も記載されているため、商品情報を必ず読んで守りましょう。
サプリメントだけを摂取していればよいわけではありません。バランスのよい食事も心がけていきましょう。
過剰に摂取すると、軟便になったり出血が止まりにくくなったりすることがあります。
薬を服用中の方へ
DHAは血圧を低下させる可能性があるため、血圧降圧剤との併用は、血圧が過度に低下するおそれがあり注意が必要です。
DHAは血糖値を上昇させることがあるため、糖尿病治療薬を飲んでいる人は、薬の効果が弱まる場合があります。
服薬中の方は医師に相談しましょう。
妊娠中、授乳中の方へ
母乳にも含まれるDHA、EPAなどのn-3系脂肪酸は、一部の乳児用粉ミルクに栄養補助成分として添加されています。
また、母乳授乳期の母親がDHAを摂取すると、母乳中のDHA濃度が上昇するので積極的に摂り入れましょう。
ただし魚で摂取する場合は、水銀などの多く含まれている場合がありとり過ぎには気をつけましょう。