現代人に必要な食物繊維
食物繊維とは
食物繊維とは、食物の中に含まれている、人が消化酵素で消化することのできない物質のことです。
その多くは、単糖がたくさん結合した多糖類の仲間です。しかし消化されないので、エネルギー源にはなりません。
たんぱく質・脂質・炭水化物などは、消化管の中で消化酵素によって分解(消化)され、小腸から体の中に吸収されていきますが、食物繊維はこの消化酵素の作用を受けずに小腸を通過して、大腸まで達する成分です。
体内には吸収されませんが、身体の中で健康のために重要な役割を果たしていることが注目され、五大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル)に次ぐ第六の栄養素ともいわれています。
食物繊維の種類
主に水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維に大別できます。同じ食物繊維ですが、体内での働きや含まれている食べ物が異なります。
不溶性食物繊維について
不溶性食物繊維は、成熟した野菜などに含まれ、糸状や多孔質の繊維質のものがあり、食感はボソボソ、ザラザラとしています。穀類、野菜、豆類、キノコ類、果実、海藻、甲殻類(エビやカニ)の殻にも含まれています。植物の細胞壁を構成するセルロース・ヘミセルロース・リグニン、蟹や海老の殻に含まれるキチン・キトサンなどです。
- 穀類(玄米、ライ麦など)
- 野菜(ごぼう、レンコン、とうもろこし、タケノコなど)
- 豆類(大豆、小豆、納豆など)
- きのこ類
- 乾物(切干大根、干し椎茸など)
水溶性食物繊維について
水溶性食物繊維は、果物や野菜などに含まれ、ネバネバやサラサラとしています。果物や野菜に含まれるペクチン、蒟蒻に含まれるグルコマンナン、コンブやワカメなどのぬるぬるの成分のアルギン酸、寒天に含まれるアガロースやアガロペクチン、紅藻類のカラギーナン、とうもろこしから作られるポリデキストロースなどがあります。さらにデンプン(難消化性デキストリン)、オリゴ糖などの成分も含まれます。
- 麦類(大麦、ライ麦など)
- 海藻類(昆布、ワカメなど)
- 果物(りんご、いちご、みかんなど)
- 根菜類(人参、大根、らっきょう、オクラ、山芋、ジャガイモなど)
食物繊維の働き
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は、それぞれの働きが異なります。
不溶性食物繊維
水に溶けにくい性質をもつ不溶性食物繊維は、胃や腸で水分を吸収して便の容積を増やし、かさを増やす作用があります。便が増えると、通過する際に腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通を促し、排便がスムーズになります。
また、有害物質を吸着させて、便と一緒に体の外に排出するため、腸をきれいにして大腸がんのリスクを減らしてくれます。
体内でコレステロールから作られる胆汁酸の体外(便中)への排泄を促進し、血中コレステロール値を下げます。また食後の糖の吸収をゆるやかにし、血糖値の急激な上昇を抑える作用があります。さらに便の量を増加させるとともに、腸内の腸内細菌のうち、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の割合を増やし、腸内環境を良好に整える作用も知られています。
①便秘予防
保水性が高いため、胃や腸で水分を吸収して膨らみ、便の量を増やしたり腸を刺激したりします。
②発がんリスクを減らす
体内の有害物質を吸着して、便と一緒に体外に排出させます。
③腸内細菌の改善
大腸内で発酵・分解されると、腸内で善玉菌の餌になり、ビフィズス菌などが増えて腸内環境が良くなります。
ですが、もともと便秘の方は腸のぜん動運動が鈍っているため、不溶性食物繊維を摂取すると、より便が詰まり、逆に便秘を悪化させる可能性があるため注意が必要です。
噛み応えがあるため、よく噛むことで、満腹感が高まり肥満予防にもつながります。
不溶性食物繊維の多い食品
食品名 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
---|---|---|
おからパウダー | 42.1g | 43.6g |
きなこ | 15.4g | 18.1g |
蒸し大豆 | 6.5g | 8.8g |
オートミール | 6.2g | 9.4g |
枝豆(冷凍) | 5.9g | 7.3g |
※いずれも100gあたり,プロスキー変法による食物繊維の数値を記載
水溶性食物繊維
水に溶けやすい特性をもっている水溶性食物繊維は、不溶性食物繊維に比べて、発酵性がよい特性があります。水に溶けるとゼリー状になり便を柔らかくし排便をスムーズにします。
小腸での栄養素の吸収の速度を緩やかにし、水分を含んでゲル状になってから排出されるので脂質・糖質・ナトリウムなどを吸着して身体の外に排出する働きがあるため、肥満や脂質異常症(高脂血症)・糖尿病・高血圧など生活習慣病の予防・改善にも効果が期待できます。
①食後血糖値の上昇を抑える
水に溶けて粘着性のあるゼリー状になってゆっくり胃腸内を移動するため、糖質の吸収を緩やかにします。
②血中コレステロール濃度の低下
便と一緒にコレステロールを体外へ排出してくれる働きがあり、 血中コレステロール濃度を下げる効果が期待されています。
③腸内細菌の改善
大腸内で分解されると、善玉菌の餌になり、ビフィズス菌などが増えて腸内環境が良くなります。
水溶性食物繊維の多い食品
食品名 | 水溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
---|---|---|
大麦 | 6.0g | 8.7g |
オートミール | 3.2g | 9.4g |
蒸し大豆 | 2.3g | 8.8g |
納豆 | 2.3g | 6.7g |
ごぼう | 2.3g | 5.7g |
※いずれも100gあたり,プロスキー変法による食物繊維の数値を記載
大腸のバリア機能を高める
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水溶性と不溶性の食物繊維のバランス
不溶性・水溶性のどちらか一方を摂取するのではなく、さまざまな食品を組み合わせて両方をバランスよく摂取することが大切です。便秘予防ばかり意識して不溶性食物繊維ばかり取り過ぎると、便が固くなってしまい、かえって便秘になってしまう可能性もあります。その反対に水溶性食物繊維ばかりをとりすぎると、下痢になりやすくなります。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の理想的な摂取割合は、1:2の割合です。水溶性と不溶性の両方を含んでいる、オートミールやさつまいも、蒸し大豆、納豆、アボカドなどは、水溶性1:不溶性2でバランスがいい食材です。
食物繊維総量の多い食品
食品名 | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
---|---|---|---|
オートミール | 3.2g | 6.2g | 9.4g |
さつまいも | 0.9g | 1.9g | 2.8g |
蒸し大豆 | 2.3g | 6.5g | 8.8g |
納豆 | 2.3g | 4.4g | 6.7g |
アボカド | 1.7g | 3.9g | 5.6g |
※いずれも100gあたり,プロスキー変法による食物繊維の数値を記載
さつまいもに多く含まれるでんぶんは、これまで小腸ですべて分解吸収され、エネルギー源になると考えられていました。しかし近年研究で、冷めるとでんぷんの一部が、分解吸収されにくくなり、「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」となって存在することがわかっています。レジスタントスターチは、お通じを良くしたり、腸内細菌のエサになって善玉菌の増殖を促したりと、食物繊維と同じ作用をします。
こうした性質は、でんぷんを含むほかの食材にも当てはまります。お米の場合、炊きたてでない冷めたご飯からも、「食物繊維が摂れる」と考えれば、お米の価値も高まります。
食物繊維の不足
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準2020年版』では、18~64歳の1日の摂取目標量は18〜64歳の男性で21g以上、女性で18g以上と定められています。しかし、令和元年の『国民健康・栄養調査』によると、日本人の食物繊維摂取量は世代が上に行くほど多くなるものの、60歳以上の女性を除いて不足傾向にあります。平均摂取量は男性19.4g、女性は17.5gと、男女ともに目標量を摂れていません。
ちなみに欧米では、1日24g以上の摂取で心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、乳がん、胃がん、大腸がんなどの発症リスクが低下するとの研究報告があります。
食物繊維の不足は、便秘などを起こしやすくなり、また、腸内環境が悪化することで、肥満や糖尿病といった生活習慣病のリスクが高まります。腸と脳との深い関係(腸脳相関)から考えると、脳の病気のリスクも高まります。元気のためには、食物繊維は必要不可欠です。
サプリメントなどの健康食品を利用する際は、とりすぎるとおなかが緩くなったり、ミネラルなどの吸収を妨げたりする可能性があるため、注意が必要です。
食物繊維の量を増やすコツ
主食に穀類をプラス
穀類は食物繊維を含んでいるので、より効率的に摂取できます。白米を大麦や玄米、もち麦に変える、食パンを全粒粉のパンやライ麦パンに変えるなど、3食のうちの1食を置き換えると、食物繊維摂取量を増やすことができます。
和食中心の副菜
和食中心の副菜、とくに切り干し大根やひじきの煮物、おからやきんぴらは、食物繊維の多いおかずです。コンビニエンスストアの総菜でもよく見られる昔ながらの「和食のおかず」は、食物繊維を摂取するのに最適です。
野菜は生より加熱調理
生サラダで野菜を食べるよりも、蒸したり煮たり加熱すると野菜のカサが減って、たくさんの量を食べられます。食物繊維の量は加熱してもほとんど減りません。スープや味噌汁はさまざまな野菜を一緒に調理し、具だくさんにしましょう。
豆類は毎日
豆類は食物繊維が豊富に含まれています。納豆、おから、木綿豆腐は積極的に毎日食べましょう。
きのこや海藻・こんにゃくは積極的に
きのこや海藻、こんにゃくは、おなかの調子を整える優れた食品です。
コンビニでは食物繊維の多い食材を選ぶ
外食やコンビニで食事を選ぶ際には、食物繊維の多い食材の入っているものを選びましょう。食物繊維は、動物性食品にはほとんど含まれず、植物性食品、豆類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類などにも多く含まれています。食品で見ると、そば、ライ麦パン、しらたき、さつまいも、切り干し大根、かぼちゃ、ごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、納豆、いんげん豆、あずき、おから、しいたけ、ひじきなどです。1食あたり摂取する量の中に食物繊維が2~3gも含まれています。こうした食材をみつけてメニューを選ぶと、効率的に食物繊維を上手に取り入れましょう。
穀類は食物繊維を含んでいるので、より効率的に摂取できます。白米を大麦や玄米、もち麦に変える、食パンを全粒粉のパンやライ麦パンに変えるなど、3食のうちの1食を置き換えると、食物繊維摂取量を増やすことができます。
和食中心の副菜、とくに切り干し大根やひじきの煮物、おからやきんぴらは、食物繊維の多いおかずです。コンビニエンスストアの総菜でもよく見られる昔ながらの「和食のおかず」は、食物繊維を摂取するのに最適です。
野菜は生より加熱調理
生サラダで野菜を食べるよりも、蒸したり煮たり加熱すると野菜のカサが減って、たくさんの量を食べられます。食物繊維の量は加熱してもほとんど減りません。スープや味噌汁はさまざまな野菜を一緒に調理し、具だくさんにしましょう。
豆類は毎日
豆類は食物繊維が豊富に含まれています。納豆、おから、木綿豆腐は積極的に毎日食べましょう。
きのこや海藻・こんにゃくは積極的に
きのこや海藻、こんにゃくは、おなかの調子を整える優れた食品です。
コンビニでは食物繊維の多い食材を選ぶ
外食やコンビニで食事を選ぶ際には、食物繊維の多い食材の入っているものを選びましょう。食物繊維は、動物性食品にはほとんど含まれず、植物性食品、豆類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類などにも多く含まれています。食品で見ると、そば、ライ麦パン、しらたき、さつまいも、切り干し大根、かぼちゃ、ごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、納豆、いんげん豆、あずき、おから、しいたけ、ひじきなどです。1食あたり摂取する量の中に食物繊維が2~3gも含まれています。こうした食材をみつけてメニューを選ぶと、効率的に食物繊維を上手に取り入れましょう。
生サラダで野菜を食べるよりも、蒸したり煮たり加熱すると野菜のカサが減って、たくさんの量を食べられます。食物繊維の量は加熱してもほとんど減りません。スープや味噌汁はさまざまな野菜を一緒に調理し、具だくさんにしましょう。
豆類は食物繊維が豊富に含まれています。納豆、おから、木綿豆腐は積極的に毎日食べましょう。
きのこや海藻・こんにゃくは積極的に
きのこや海藻、こんにゃくは、おなかの調子を整える優れた食品です。
コンビニでは食物繊維の多い食材を選ぶ
外食やコンビニで食事を選ぶ際には、食物繊維の多い食材の入っているものを選びましょう。食物繊維は、動物性食品にはほとんど含まれず、植物性食品、豆類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類などにも多く含まれています。食品で見ると、そば、ライ麦パン、しらたき、さつまいも、切り干し大根、かぼちゃ、ごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、納豆、いんげん豆、あずき、おから、しいたけ、ひじきなどです。1食あたり摂取する量の中に食物繊維が2~3gも含まれています。こうした食材をみつけてメニューを選ぶと、効率的に食物繊維を上手に取り入れましょう。
きのこや海藻、こんにゃくは、おなかの調子を整える優れた食品です。
外食やコンビニで食事を選ぶ際には、食物繊維の多い食材の入っているものを選びましょう。食物繊維は、動物性食品にはほとんど含まれず、植物性食品、豆類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類などにも多く含まれています。食品で見ると、そば、ライ麦パン、しらたき、さつまいも、切り干し大根、かぼちゃ、ごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、納豆、いんげん豆、あずき、おから、しいたけ、ひじきなどです。1食あたり摂取する量の中に食物繊維が2~3gも含まれています。こうした食材をみつけてメニューを選ぶと、効率的に食物繊維を上手に取り入れましょう。